106歳の大往生でした。
みな誰しも肖りたい。
直前まで谷崎文学を愛で朝日新聞をルーペで追ったという。
全人まる裸のお人柄がうかがえる。
素晴らしい。
故人が所望されたクラック音楽が会場を包みやがて法然上人生き写しのような僧侶が現われて古式に則りしめやかなる読経が流れ始めたのです。
鐘と木魚を交えながら浄土宗のお経は続く、浄土への道のりは遙か遠くて長いのです。
暫しの間、鳴り止むことがなかった。
此の故人より六代遡った御先祖にかの「遠藤高璟( たかのり)」が此の世に存在した。
「高璟」自作の日時計が玉川図書館にて今も時を刻むのです。
此の「高璟」を研究される代表的な郷土史家からも故人を偲ぶ送辞が手向けられ夜伽の厳粛さに一層彩りを添えていた。
此の「高璟」の愛娘「鉚」との遠い関わりの中にわたしの実母「とし」がいるのです。
わたしは亡き母と手を繋いで今日の通夜に参列させていただき末席をば汚してしまっていたのです。