老いのひとこと

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わたしの家は野々市市に隣接し直ぐ近くに金沢工業大学の学舎がある。


学生さんはみな小奇麗できちんとしていてとても真面目そうにお見受けするのです。


自分たちはちゃんと学業に勤しんでいますという無言の雰囲気を辺りに醸し出している。


偶々、キャンバスの真横にあるVdrug店で買い物をし家に帰って財布を確認するがないではないか。


何処を捜してもない。


何処にもない。


又しても仕出かした。


血の気が引いてゆくのが自分でもわかる。


派出所と銀行への通報の先にひょっと致せば或いはひょっとするかもしれぬと万に一つの望みを託して先程のお店のレジで問い質したのす。


すると驚く勿れ取り次いだお方はわたしの名前と財布の特徴を尋ねてくるではないか。


これは脈あり助かるかもしれぬと咄嗟に感じた。


待つ身にすれば随分長く感じたが薄汚れた自前の小銭入れが目の前に現れたのです。


やあ、助かった。


まさに、これぞ天佑神助思わず合掌していた。


学生さんでしたとおっしゃる。


名前や学年など聞いたが名乗るほどのものではないとその場を立ち去られたという。


何と云う健気にして誉れ高い素晴らしき若者がいるものかと只々感心致すばかりです。


工大生はやはり評判通りでした。


大学は学問のみならず人間性も育て磨いていることをまざまざと思い知ったのです。


捨てたものではない、この世にはまだまだ真人間の善意が満ち溢れているではないか。


失ってはならない尊いものに気付きとてもうれしかった。