何の事はない深澤直人氏はすでに金沢二十一世紀美術館にお出ましでした。
「工芸とデザインの境目」と題して10/8から来年の3/20までのロング興行が企画されている事を迂闊にも知らなかった。
平日にも拘らずチケット売り場は長蛇の列ではないか。
数々の伝統工芸に彩りされた文化都市金沢の知名度は只者ではないことをまざまざと知らされました。
また日本民芸館の館長さんのお名前と相俟って、併せて新幹線「かがやき」号効果が輝いたに相違ない。
総ガラス張りの大きな器の中に閉じ込められるが決して閉塞感はなく至って明るく開放的である。
ただ何度来ても迷路のような構造に戸惑ってしまう。
これは甚だ口幅ったきことだが「工芸」とは作者自身の手で自分の作品を作り上げるのに対し「デザイン」はデザイナーは自身の手でモノをつくることはない、モノを作るのは機械であり作られたモノを作品とは呼ばずに製品と云うらしい。
また、作品には製品に比し明らかに精度の面では劣るが個性的な価値を有する利点がそりゃありましょう。
とても驚き興味深かったことにドイツのライツ社製のライカは工芸のジャンルに属しキャノン製のカメラはデザイン部門に属するとは成る程なあと感心させられた。
鋭い観察眼と分析力には只々びっくりするばかり興味は尽きなかったのだが惜しむらくは解説文の文字サイズに一考がほしかった。
老いらくの視力の持ち主も居ようこと、拡大鏡の気配りがあってもよかろう。
「工芸」と「デザイン」の境目には矢印➡が施されてはいたが此の両者が歴然と判別できるものもあるがそうでないものも多くあった。
極めて曖昧模糊とした区別できかねるモノもある。
高度化された先端技術の進出が著しい、手の触覚目で観る眼力でも判らなければ心眼で観透すしかない。
最早、アートがサイエンスに近付いてしまったのだろうか。
3Dスキャナー、3Dプリンターを縦横に駆使しプログラミングの妙を得て「工芸」「デザイン」分野の無限の進化は留まることがない。
両者の境目が益々不透明になりわたくし如きものは取り残され置いてきぼりにされた感を強くした。