法定の事≪10≫

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法定の事=長短一味 その1
 
法定の形 四本目は冬の季節を表わす。
冬がやってくる、万物みな死せるがごとく静閑となすが春来たりなば一斉に生命芽吹きみな甦る。
一見眠るがごとく死せるがごとく見えるが内には生気の息づかいが静かに脈打つ。
四本目は生気内蔵の気合を示さねばならない。
併せて「長短一味」の意味深長なる意味合いが面白い。
教本には
「太刀の長短に得失無し
 得失は我が進退に在り
 死生一如を味わうべし」とある
また
「陰は陽の存在を、陽は陰の存在を
 自己存在の前提としており
 陽は陰に根差し、陰は陽に根差す」
「陽生じれば陰長し
 陽殺すれば陰蔵す
(陽が衰弱すれば陰も不活発になる)」
命を賭して遣り合えば太刀長けりゃ退き太刀短ければ攻め進めばよい。
生と死の境目を体得いたさねばならない。
太刀の長短で戰の有利不利は問わないという教えなのだという。
 
1-打太刀、仕太刀共に
  閉足直立正眼の構え
2-打太刀、仕太刀共に
  上半円を演ず
3-打太刀、仕太刀共に
  翳を示さずに
  開足のまま諸手上段になる
4-打太刀、仕太刀共に
  すかさず左足右足と踏み出し閉足で直立諸手上段の姿勢になる
5-打太刀、仕太刀共に
  両者気合相通じながら太刀を静かに下段に下ろす
6-打太刀、仕太刀共に
  下段に下ろした両手の握りをおもむろに吸気と共に水月あたりにまで引き上げる
7-打太刀、仕太刀共に
  両手の握りを臍前に戻しすかさず直立諸手上段となる
8-打太刀、仕太刀共に
  直立諸手上段より再び下段へ降ろすが極めて静かに太刀に伴い己の心気も下降させねばならない
9-打太刀、仕太刀共に
  直立下段の姿勢から爪立てに変じ十分に背伸びをいたす
10-打太刀、仕太刀共に
   爪立ての姿勢からおもむろに踵を下しながら
   太刀を静かに上段に冠り直立相上段になる
此の間、打太刀が主導し仕太刀は遅速なくそれに追従する。