老いのひとこと

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裏道を散歩していたら変わった表示板に出くわした。


古民家の裏を通り抜ける細い細い小路のとある門扉に括り付けてあった。


「花をむすな」と読めるがよく意味が判らない。


達筆ではないが筆跡は丁寧な文字である。


そんなに人通りは多くはない、いや殆ど無きに等しい寂びれた裏通りではあるが此の家の主は一体何を訴えようと為さったのであろうか。


人の善意の乏しい捻くれ者にはやはり直感的に「花をぬすむな」の意味合いにしか解釈できない。


しかし、それにしても「ぬすむな」を間違えて「むすな」と誤記したにすれば余りにも頓珍漢だ。


いや待てよ、この家の主はあからさまに盗むなと表わすのは余りにもえげつない。


当たらず障らず遠回しな表現法を編み出されたのかも知れない。


なかなかの風流をそなえた教養人に違いなかろう。


いやいやそうではなかろう、もし本当の風流人ならこんな標識を掲げるはずはなかろうに


とあれやこれや想いをはせながら金木犀に魅せられながらそぞろ歩くのです。