老いのひとこと

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今年も町内の夕涼み夕食会がやって来た。


皆さんのご好意で八十歳以上には招待券こそなかったが無料で優待された。


しかし幾ら町内の親睦会と云えどお金を払わず飲み放題食い放題に組するわけには行くまい。


余りにも図々し過ぎよう、わたしの処世の術には馴染まない。


そんなことは口せず封筒に会費を偲ばせ受付を済ませた。


ビアサーバーから注いだジョッキグラスとまではいかないが紙容器でも美味い。


炎天下の畑仕事の後は猶更美味かろう。


でんと一本、宗玄「漲」が控え居る。


辛口だが酵母の味が口に広がり実に甘い。


気兼ねなく遠慮することもなく


欲しいままに呑み乾す。


ところが宴たけなわの頃、町会長の挨拶通り突然真夏の驟雨が襲い来る。


皆さん蜘蛛の巣を散らかすように木陰へと退避なされ残るは我ら三人衆が呑兵衞の心意気を欲しいままに致したのです。


 


とは言え申すほどでもない程ほどに酩酊しほろ酔い気分でいい気に為れば「お楽しみ抽選番号」が32番を盛んに連呼する。


立派な景品までをもふところにし家路に着いた。


久方ぶりに千鳥足を体験した。


忘れずにちゃんと思い出しちゃんとふらふらよたよた歩けたのでよかった。