老いのひとこと

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ラジオ体操にまつわるこぼれ話になる。


 


毎朝隣町の公園までラジオ体操に行く。


するとわたしの背後に少年が一人うずくまる様にして何をするわけでもなくラジオ体操のリズム音楽が鳴り始めるのを待っている。


「おはよう」と挨拶すれば蚊の鳴くようなお声で「おはよう」と返してくれる。


それも其の筈ヒゲ面の風采の上がらぬ年寄りが近付けば警戒して当たり前だろう。


そうこうしている内に何時しか少しづつ会話が成立するようになりわたしにすれば掛け替えのない貴重なるお友達が誕生したことになる。


1年生で授業で一番大好きな科目は生活科らしい。


どうも理科に因んだことが得意らしくアマガエルと平気で遊んだりよくハヤブサ2号の話を聞かせてくれる。


それと云うのも此の少年のお名前はハヤト君でわたしはよくハヤトの漢字の文字を尋ねたりするのだがどうしても要領を得なかった。


それがある日ふとひらめいた、鈍感すぎた我が身を悔いた。


隼人君はハヤトのハヤはハヤブサの隼ですと懸命に説明していたのです。


それに気付かないドジな老いぼれ爺であることを隼人君にお詫びした。


微かに笑って呉れてこんなに嬉しいことはない。