とうとう寿陵を決意した。
野田町にある馴染の石材屋さんに見積もりをお願いした。
決意の根拠が三つある。
其の一つは高橋本家から分骨されたご先祖の甕が床の間に在るが然るべき所に納めたいと家内が予てより再三催促いたす事。
二つ目は息子たちへの負担軽減。
三つ目はいずれはおのれの入るべき処ゆえおのれの気の向くまま心地よい住処を所望して然るべきだと判断いたした事。
我が家内には散々な思いをさせたので其のせめてもの償いとして家内の実家から貰い受けた庭石を我が墓石としてでーんと据え置くことに決めたのです。
其の庭石のいびつな正面に「佛」の一文字を彫って戴くようにお願いした。
後は甕を安置する屍櫃( からひつ)という石室をどうしても造って貰わねばならない。
此処ぞ紛れもない我が安住の地
まさに地べたに横たわることに相成ろう。
尤も甕に入りまするが其の自作の甕を捜し出し再確認いたした次第です。
愛犬りりも共に入るので寂しくはなかろう。
家内もやがてはやつて来るだろうし息子らも来れば拒まず去る者あらば追ったりはしまいぞ。