老いのひとこと

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高尾の在所のお隣が窪の在所、そのお隣に山科の在所が在って


むかし此の山科の在所に芋堀藤五郎云う男がいて自然薯と云う芋を掘ったとさ。


高尾の在所の片隅で今日せっせと芋を掘る男が居りました。


その男は自然薯ではなく甘薯と云うお芋さんを掘りました。


 


見様見真似で植えた「鳴門金時」が見事に育ちその男は坂田の金時になった気分でほくほく顔して堀つたとさ。


俄か仕立ての素人百姓にしては上出来じょうでき芋づる式に大物たちをぞくぞくと掘り当てる。


 


先ずは地主さん宅へ上納品として奉納する。


よくぞやったとお褒めの言葉を戴く。


満更でもない。


 


 


カボチャより


    それ以上の


        十三里


 


南瓜には


  及ばぬけれど


       甘薯かな


 


此の両者


  甲乙付け難し


      引き分けだ