老いのひとこと

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大河ドラマ「せごどん」の最終回のクライマックス場面で加賀藩士島田一郎が鮮烈なるデビュを果たすのだが同時にドラマの幕が降ろされた。


わが加賀藩士族が明治維新劇にショッキングな形で間違いなく関与した。


所謂大久保利通が暗殺される紀尾井坂の惨劇の首謀者たちがほんの一瞬だがテレビの画面に躍り出たわけだ。


紛れもなく無頼の徒であり逆賊反逆者をわが加賀藩から輩出したことになる。


明らかなるテロ行為であり糾弾されるは然り、そこには寸分たりとも容赦の余地は入るはずがないだろう。


 


 


そんな中わたしは伊東潤著「西郷の首」なる書物に出逢った。


加賀の国に所縁のない著者が此の叛賊島田一郎に焦点を当て無二の親友千田文次郎との生き様を対比させながら此の間の経緯を克明に描写為された。


島田らが暴挙へと突き進む時代背景を忠実に織り交ぜながらストリーは展開する。


非は非として捉えながらも島田らの義を貫く心意気や道理に寄り添う筆致で筆者は筆を一気に進められた。


だからわたしは感涙に咽びながらも一気に活字を追ったのです。


飽くまでも小説とは百も承知するが斬首された血だらけの一郎の首を水で清め棺に納める文次郎の生々しい仕草が目の前に浮かぶ。


好き親友の間柄で在ってよかったとわたしも共々感動し合った。


「せごどん」のお蔭で二人の友情が育んだことだけは間違いがない。


素晴らしいではないか。


 


五十周忌に当たる昭和2年の年に島田ら六名のお墓が野田山墓地に建てられたのだと云う。


先日舟田氏の案内で郷土の素晴らしき歴史的人物の前で確と手を合わせて参りました。


合掌


 


 


追記


石林文吉氏が著わされた「石川百年史」(昭和47年叛)にも千田文次郎が七聯隊の隊旗を授与された場面並びに「西郷の首」(隆盛の遺体)を千田文次郎旗手の部下前田恒光が発見したとの記述があり安堵する。