老いのひとこと

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わたしは化け学は大の苦手で辛うじて単位だけ戴いた。


我が身自身の組成が不可解で悩み抜いた者が物質の成り立ちまで解明する余裕は何処にもなかった。


化け学が怖くて逃げまわったものが今県民大学大学院の化学講座を敢えて聴講するとは魂消たことだ。


尤も表題が良かった、表題に釣り込まれたことになる。


「豆腐と温泉の化学」が良かった、何よりも講師の教官はあの四角四面の化学式には触れずに解かり易い豆腐と温泉の話しに終始されたことが良かった。


実験や実習を取り込み教卓を取り囲んでわたしらは無心に覗き込んだ。


学生時代の化学の授業とは全く趣を異にしたところが良かった。


戦時中の豆腐はニガリ(塩化マグネシューム)の代用に石膏(硫酸カルシューム)を用いたことを聞いた。


ガリは軍需物資として調達されジュラルミン精製に資したのだという。


わたしは戦時中オカラこそ食べさせられたが終ぞ豆腐を食した記憶はない。


ついお袋さんの顔を思い出してしまった。


 


 


むかしの海水豆腐が今や温泉水豆腐が脚光を浴びているのだと云う。


コンロで市販の豆乳を煮沸しそこへ市販の温泉水を混ぜれば豆乳中のグリシニンが温泉水中の塩化マグネシュームやカルシュームに反応し凝固し豆腐が出来上がったではないか。


 


受講生はその豆腐を試食し舌堤を打ち合った。


 


あの難解な化学が斯くも身近に在ることを知らされとても気持ちがいい。