老いのひとこと

f:id:takaotm1101101:20201217070237j:plain

雲一つない稀に見る日本晴れ、気も爽やかに晴れ渡った。

額新町の銭湯から雀のお宿に差し掛かるといつもの御仁がいられるではないか。

立ち止まったりひょいと横向きなったりしながら或いはひょっとしてわたしに出逢うのをためらっていられるようにもお見受けしたがそうではなかった。

わたしの方から「うまい天気やね」と声を掛ければ先方さんも気が乗ったのか伏し目ながらもわたしに目線を注いで軽く頷いてくれたではないか。

漸くにして意思疎通が叶った、初めてであった。

此の御天気がわだかまりを解き放ってくれたに相違ない。

何処かの別嬪さんに在らずして初老の知らぬオッサンであれ人間同士の気持ちが触れ合うことは素晴らしいことではないか。

やはり此の日本晴れの所為だ。