老いのひとこと

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コツ甕の残土の中に密かに息づく名も知らぬ一本の幼木にわたしは名付けて「近吾の木」と称した。

名前を尋ねあぐむ内に舟田氏より「カナメモチ」じゃなかろうかとの好き知らせを頂いた。

でも新芽の若葉の色が薄紅色と違って此の木は黄緑色だ。

後日、同氏よりならば「ユズリハ」の木に違いなかろうとご訂正を頂いた。

常緑樹にありながら春には落葉するとある。

新芽から新しい葉が生ずれば古い葉は恰も役目を譲るかのようにして落葉するのだと云う。

親が子を育て代々子孫を継承する事に見立て「ユズリハ」は「親子草」とも言って縁起の良い植物であるらしい。

ところが実は此の「近吾の木」は若葉がすくすくと成長すれど古い親葉は一向に落葉しないのだ。

さらには此の葉の先端部が短く尖るとあるが「近吾の木」は実に円やかでどこにも先鋭さが見当たらないのだ。

舟田さんには悪いが此の木はやはり昔のままの「近吾の木」の名前でわたしにはそれで十分、それが一番ピッタシなのです。