老いのひとこと

四角四面な人間で品行方正さとはほど遠い嫌な奴だ。

根性が捻くれて可愛げ微塵もなく生来根暗な性質だ。

 

此のわたしにそっくりな歪にひん曲がったしかも無安定な八角浅鉢があの時窯から出てきた。

イタズラっぽい表情で「こんにちは」「よろしく」と醜い笑みを湛えて「捨てないで」「壊さないで」「割らないで」と哀願する。

 

「悪かった不遇の身で此の世に生誕させた責任」は此のわたしにこそある。

「許したまえ」と悲しげに頬ずりする。

わたしにしか創り得ない此の世に唯一無二の秀作であり終生座右の器として愛でてゆかねばならないのです。