2022-10-18 老いのひとこと 此の生まれ付きの賤しい根性は治りそうにもない。 街中を歩いていても何かしら獲物がなかろうかと鵜の目鷹の目で何でもよい何かを漁るのです。 先日は清閑なる住宅地に足を踏み入れれば鄙びた佇まいの棲み人なき無人の館のよこを過ぎる。 庭先に目を遣れば主亡き栗の木が今年も実を実らせ儚くも地上に撒き散らし居る。 深まりゆく季節の下やがては地中へと朽ち果て逝くに違いはない。 ならば余が少しく拾い救わんと十個ばかり頂戴するに与かった。 家内へは拾ったとも申しづらく知人に貰ったと告げて誤魔化した。 数日後栗メシが御膳にあがったが格別に美味いはずもなかろう。 渋皮まじりの苦みばしった味がした。