老いのひとこと

    無断掲載

ラジオを聞いていた家内が消魂しい声でテレビを付けろと叫ぶ。

NHKの臨時ニュースは緊迫したアナウスを繰り返す。

避難・避難・避難、直ちに安全な場所へ身を隠せと催促する。

8時を期してミサイル着弾の恐れありと実にリアルに警戒心を煽った。

真実味を加味せんと随所に政府からの発信であることを強調する。

 

北朝鮮からの脅威に諸に曝され、今か今かと身をすくめる。

 

ただ、警報や警告が二十分ほど繰り返されるが一向に其の気配がなかった。

 

事なきを得たことは大いに吉と致さねばならぬが併せて同時に政府への不信感と憤りが自ずと込み上げる。

誤報への正式な謝罪コメントがないばかりか其の正当性を誇らしげに語る。

 

此れは敢えて作為的に誤ったアラート発令を策略したのではなかろうかと在らぬ事を勘繰ってしまう。

怪しからんことながら敵基地攻撃能力の是非問題を通り越し其の当然性必然性を大方の国民へ印象付けようとしたのではあるまいか。

斯くなる猜疑心に一瞬包まれた。

 

統一選の最中、防衛費増強と増税ありきの同調世論に寄与した出来事のように映っても仕方がない。

 

 

プーチンから「偽の情報戦」の戦術を学び盗ったような気にもなるではないか。

面白くない一日であった。