老いのひとこと

農作業雑記

其の一

二三度ばかり真夏の時雨が急襲したりもしたが焼け石に水だ。

夕刻、外気が落ち着くのを待って50CCの原付バイクにジョウロやポリ容器の水を満載して出掛ける。

 

遅咲きの花を付けたキューリに夏剪定した茄子3株にオクラと金時草、ヤーコンにゴーヤと里芋3株が全てでジョウロ3杯で事は済む。

丁度水を遣り終えた時、背後から声がする。

水が必要なら水道水をどうぞどうぞと気安く語り掛ける。

惨めな老い耄れに見るに見かねてお隣さんが到頭声を掛けて下さったのだ。

時折見受けるが格別声を掛け合う間柄ではなかったが此れが初めてのご好意であった。

期せずして他人様の御親切心に接しやっぱし嬉しかった。

ありがとう、すみません、気の毒なことです。

何度も繰り返し御礼を申し述べた。

 

帰り際、お隣さんがわたしの畑へホースで散水するのを見届けたが水はそんなに遠くまで飛ばなかった。

それでも無性に喜びが込み上げた。