老いのひとこと

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能登半島地震の災害対策を予算委員会で審議されNHKは全国に放映した。

国会の中継場面を見て感涙に目が潤んだことは未だ嘗て一度たりとも無かった。

 

国民の信託を受けた国民の代表者は誰しも異口同音に被災民に寄り添い復旧復興を声高に叫ぶが其処には官僚答弁のような木で鼻をくくった味気なさだけが虚しく通り抜けるのです。

 

今日質問に立った立憲民主党近藤和也議員を見て率直な感想を抱いた。

 

むかしの七稲地蔵にまつわる「安政の泣き一揆」を彷彿とさせる胸打つ質疑に衷心より感服させられた。

冷害で疲弊した二千名もの百姓たちが挙って向山山頂より一斉に「ひもじいよ、ひもじいよ」と涙声で年貢減免を愁訴した。

犠牲となった首謀者七名が今以って七稲地蔵として祀られる此の史実に因んで近藤議員は被災民の心情を切々と代弁した。

近藤さんの温厚な人柄溢れる、しかも噛んで含める言動が印象的だが窮状に喘ぐ避難民救済への具体策を岸田総理に質したのに応じた日本国の宰相は色々申される中に地震保険等の災害保険加入を促したいと口にされたのだ。

こんなわたしですら少なからず違和感を持ったのだが近藤和也さんは暫し絶句したまま間を置かずに切り返えされた。

目には涙を潤せながら「総理、幾ら何でも冷酷すぎはしまいか、被災民は此の言葉を何んと聞きましょうか」

「生々しい傷跡に塩を塗りたぐるも同然」

「全てを失った能登の民衆に保険加入の余力なんか何処に在りましょうか」と涙ながらに訴えられた。

その瞬間、画面の背後に映し出され自民党理事のお歴々の中に石破さんが映り奇しくも目頭を拭う仕草を此のわたしは確と捉えました。

能登の人たちに寄り添う野党議員に与党議員の雄が共鳴し同調したではないか。

画期的場面ではなかろうか。

其れを見てわたしの涙腺も緩んでしまった。

 

今日は素晴らしい光景を目の当たりにできて良かった。

 

それにしても立憲民主党が八王子や大津でどうして苦杯を舐めてしまったのだろうか。

不思議でならない。