老いのひとこと

素足に草履を突っ掛け氷雨そぼ降る中しょぼしょぼと行く。

後から声がする、一瞬何方かなあと戸惑ったが園林寺の住職さんに気付く。

袈裟懸けなら兎も角私服で居られるので記憶がよみがえるのに暫し間を要したが思い付いたことはまだまだ認知の程度も大丈夫そうだ。

「寒いのに大変ですなあ」「其れにしてお元気ですなあ」と労ってくださった。

お寺の住職さんから懇ろなお言葉を頂戴し些か恐縮する。

有り難さも噛みしめて有難うございます、またどうぞよろしくと笑みを湛えて一礼した。

その時、自分でも何であそこで「又どうぞよろしく」と意味不明な事を口走ってしまったのかと考えあぐねるのです。

 

 

「其の節はまたどうぞよろしく引導ください」と言う意味合いを無意識的に口に出したのか知れない。

高橋家の菩提寺は田井町の善行寺さんではあるが自宅とは至近距離の同じ真宗大谷派の園林寺があれば物理的距離的至便さを考えれば大いに迷ってしまう、何せ善行寺さんとは疎遠の極みなので猶更迷ってしまうのだ。

 

もうソロソロには違いはないが最終的決断はもう少し後日にしょう。

ちっちゃなちっちゃな身内だけの儀式を所望するがせめて一回だけで好いので枕元でお坊さんからの御経を戴きたいものだと内心そう思うのです。