老いのひとこと㊷

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我が母方の曽じい様津田近吾と腹違いのお兄様津田近三が寺町妙典寺に座します。

兄近三は津田本家へ養子入りし養父和三郎の墓を此処妙典寺に懇ろに残した。

弟の近吾は此れはわたしの推測ながら実父清三郎近猷並びに実の祖父金太郎近義の霊魂を改めて此の地に祀らんと五輪の塔を建て此の境内に確と残したものとわたしは拝察いたすのです。

然様に在って欲しいと只管願うのです。

此の案件に付いては、とある郷土史家の御仁に調査ご検証をご依頼申した由に付き後刻判明いたすことでありましょう。

何分、此の清三郎と金太郎の墓は野田山芝山の地にて廃絶の憂き目に晒され今はもう無い。

従って、近吾が残せし此の二基の五輪塔は津田一幽家の分家筋が此の世に存立したことを立証する貴重なる文化遺産と相成りまするように希う。

妙典寺住職様には此れらのお世話を改めて願い出て参りました。

 

或る日突然にも津田近三は津田清三郎近猷の倅には非ずと云う異聞が俄かに飛び込んできた。

さあ大変なことになったぞ。