老いぼれへぼ教師の回想記《27》

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わたしは極めて世情に疎い存在で郵政改革とか郵政民営化問題などからっきし分らない。
分かろうとしないのかもしれない。
あの頃、あの小泉さんの手法がどうも気に入らなかったのは確かだ。
最近になって復興財源の税外収入に充てるべく政府与党内で郵政株売却問題が頭をもたげ始めているようだ。
郵政改革法案が臨時国会の俎上に乗せられてくるのでしょうか、どうでしょうか。
まあ、何ともお粗末なものだ。
 
其の三  海原に試練乗り越え金石中
 
会田雄次との出会い(中)
 
 
あの当時、この国を席巻する小泉旋風を見聞するに、国を挙げての大衆が血眼で見入るこの劇場のヒーローを自作自演するわれ等が宰相は『この世をばわが世とぞ思う郵政の謀叛する者はなしと思えば』と歌にまで謳って豪語している。小泉の小泉による小泉のための郵政劇で幕が開き今まさに幕が下りようとしている。
完膚なきまでおのれを貫き通した異例のこの人物を見るにつけ、会田雄次教授のある著書の断片を思い出さざるを得なかった。
中世ヨーロッパの騎士は決死の死闘で宿敵を討ち取った折には、決して即座に刺殺することなく、ましてや遺体を葬り去ることはしない。出来得れば生きたまま捕獲して鋼鉄製の厳重なる檻の中で匿ったらしい。折に触れて、怯え慄く敵の姿に冷笑を浴びせて溜飲を下げたらしい。もしも死に絶えたならホルマリン液に浸しそれを眺めたのだという。
 実に冷酷非情な仕打ちを常としたらしい。果たして狩猟民族の為せる業か。刺客を送り込む卑劣な手法と一脈相通じはしまいか。
また、ある寓話になぞらえて、一人の少年が他人の畑から果実を盗んだ。すぐに畑の主に見付かってしまったが、盗んではいないとうそぶいた。ところが果実の中に潜んでいた毒蛇が少年の喉元に喰い付き、少年は悶え苦しみながら死に絶えてしまった。
この西洋の寓話の我々に言わんとする教訓は、正直でありなさい。でないと怖い目にあいますよとか嘘をつく子は罰が当たり地獄へ行くよ、というような平板的な在り来りの答えではない。
言わんとするのは、人たるものはいったん口に出して言ったのなら仮に嘘であったにしろ最後まで貫き徹すことの大切さを強調し絶賛することにあるのだという。つづく