老いぼれへぼ教師の回想記《30》

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”酒は大関心意気”を口ずさみながら赤ちょうちんを梯子したものだ。
お酒の洗礼を受けたことも試練の一つだった。
そういえば、ここ最近呑兵衛たちの千鳥足を見受けなくなった。
みな、小奇麗に洗練されたようだ。
バブル崩壊リーマンショック、さらに追い打ちをかけたギリシャ問題に端を発した世界不況予測では萎れよう。
やはり、最早デモやストの元気を取り戻せない時代になってしまったのかなあ。
 
 
其の三  海原に 試練乗り越え 金石中
 
バイク通勤(下)
 
金石中の在職期間は八ヵ年に及んだが、赴任最初の職員打ち合わせにて、自分はなんら取り柄無き存在で,敢えて申すなら酒をいただくことだけであると口を滑らしてしまった。
このことが後々まで尾を引いて酒席のたびに皆からやんややんやと強いられて悲鳴を上げざるを得なかったことを苦々しく思い出す。
とりわけ杉村さん辻口さん石坂さんたちをはじめその他大勢の自称酒豪がひしめいていた。
斗酒なお辞さずの類いがひしめき、ペロッと舐めるように一升を空けてしまう。顔色蒼ざめ眼光すわり、まさに鯨飲し教育を論じた。
歌うことは左程なかった。真の酒好きは謳うことがあっても歌わなかった。口角泡を飛ばし世風を激論した。往時が懐かしい。
 一たび宴が佳境に入ると白々と夜が明けるまで席を立つことが許されず、そのまま授業にたったことも幾度となしにあった。生徒たちも心得たもので伏し目でくすくすしていたことを覚える。
 そのときの厳しき教えとして深酒を理由に仕事を休んだりしたら男が廃る、教師としてこれほど恥ずかしきことは無いのだと先輩教師よりよく言われたものだ。この教訓はその後の教師生活に活かしたつもりだ。