老いぼれへぼ教師の回想記《58》

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祖父勝太郎が“士族の商法”よろしく現新竪小グランド横で駄菓子商を営んだ事もあったらしいが、ご多分に漏れず敢え無く閉店に追い遣られた。
わたしの知る限り、商売に手を染めた者は、あの当時においては此の祖父以外知らない。
だから、そろばんはもとより帳簿や銭勘定とは無縁の存在であった。
処が、そんなものが商売のことを教える当事者になろうというのだから、そりゃ大変なことになったわけなのだが・・・ 
 
 
その五 挑戦と試練挫折の河北台(6)
 
士族の商法=その6 
 
 当時の斯くなる心境を分析するに、依って来るその主たる原因は未知への遭遇、新たなる商業科へチャレンジする不安感の一語に尽きよう。
 異動を知った時点で上野正明氏より直々の手解きは受けてはいたが、何といっても学卒以来三十年近く埃をかぶったままに放置した高校商業科二級の免許状にはおのれ自身が覚束なさを抱かざるを得なかった。
 上野氏から、商業一般、商事と称するマーケテング論、経営、商業法規などをピックアップされ一応目途をつけた。ようやく腹を決めるに至った。