老いぼれへぼ教師の回想記《65》

イメージ 1
 
 
呆れるほどいい加減な奴です。
貴様は何処まで如何様野郎か!喝!
またしても、此処でチョンボを告白せねばならないとは苦しい限り・・・
 通常、初段受審には級審査一級の資格が要る。
 ところが、わたしは一級資格を持たずに段審査を受けてしまった。
 実は、東署でご指導いただいた故北村忠雄先生から特段の措置を戴いたことになる。
 “あなたに対し、私が一級の実力を賦与し認定しましょう”と立派な実物の証書を手渡されたのでした。
 満面の笑みを湛えながら背中をはっしっとたたかれたことを覚えている。
 
 
その五 挑戦と試練挫折の河北台(13)
 
 
新化館道場(3)
 
 
 昭和五十四年八月一日に始めて昇段審査に臨んだ。
 立会いの相手は中村進氏であった。氏は現在も内灘地区の少年剣道のお世話をなさっていられる六十代のお方だ。
 師 北村 忠雄先生の濁声を思い起こしながら掛かって行ったことを鮮明に記憶する。
 剣道初段の称号を不祥四十四歳にして手にしたのである。
 自分の剣道を顧みるに、左程の苦もなく段位を取得したことは私の剣道人生において決してプラス要素に働いてはいないのである。
 それどころか、むしろマイナス要素に作用したとさえ云える。