老いぼれへぼ剣士の夕雲考《81》

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愛用する手製の袋竹刀
103センチ630グラム
 
夕雲流剣術書          小出切一雲 誌(7)
 
 
⑤【治世武士の嗜と成りて、木刀革袋などにて互の了簡を合はせ試みる事、兵法のならひと成りて、隙ありの浪人等朝夕工夫鍛錬して、所作にかしこき者は、自ら他の師とも成りて教を施す、如此する間に兵法者次第次第に澤山に成り、諸流まちまちなり、】
 
口語訳
 
 此れが、この世の武士たちの ( たしな )みとなっていきました。
 そして、何時の間にか木刀や竹刀(袋竹刀=韜)などで両者が立会い、試合することが兵法 ( へいほう )の慣わしとなっていったのです。
 取り分け、 ( ひま )を持て余すような浪人たちは朝から晩まで工夫しながら鍛錬を積み、技前 ( わざまえ )の巧妙なる者は何時とはなしに師匠となって他の者たちに教えを施すようになっていくのであります。
 そうこうしている内に、次第しだいに兵法者と称する剣術家が大勢 ( おおぜい )輩出 ( はいしゅつ )するようになって、あっという間にいろんな流派が出来上がってゆくのでした。