うらなりの記《84》

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高橋家次男=鉄二家の人たち(6)
 
 双親忠勝・としのDNAまさに継承せり。
 三年前胃癌発症、金沢国立病院にて摘出手術を受けるも多臓器への転移著しく取り分け肝臓への転移が致命的損傷となってしまった。
 傍目には、近隣の私設病院での初期発見が適切に処置されていたとすれば、今日的医学水準から推し量れば、最悪の事態からは回避可能であったであろうに・・・
 処が、持ち前の豪放磊落な性分からして実に健気に前向きに只管一途に病魔と対峙する生き様であった。
 愚痴ることの知らない男であった。実にアッパレな男であった。
 
 医術の進歩か特有の激痛からも開放され傍目にも安らかな面立ちで永眠していった。
 奇しくも、その時地球の裏側南米チリ国で三十三名の坑夫たちが奇跡の生還を果たした。
 鉄二の魂が霊魂が刹那に地中を通り抜けた瞬間であったのではなかろうか。