うらなりの記《87》

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母への想いー(2)
 
 『母の思い出』
 
自分の性分が根暗で陰湿なのは、多分あのときの体験に根付くことかもしれない。
 天真爛漫にして純真無垢であるべき少年時代に、いったい何があったのだろうか。
  終戦前後のあの当時、わたしの   家族は 池田町 で借家住まいをしていた。
 そこへ、いきなり大家さんの若きおめかけさんが割り込んできて二階の部屋を占拠してしまった。
 とにかく横柄な態度は鼻持ちならなかった。
 小銭をぽいと投げ捨てるように無造作に置き、アイスキャンデーを買って来いと命令する。
 よくよく遣い走りを強いられた。
 機嫌の良い日に当たると、ほんのたまに褒美に一本当てがわれた。
 それが、堪らなくうれしかった。