雑草園顛末記《3》

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草むしりとマンリョウ(万両)
 
 手当たり次第に生い茂る名もなき植物を掻き毟っていた。
 名もなき草草とは心無い言い種になろう。
 雑草と云う名の草はない。みな夫々立派な名前を持つが、その名前を知らないだけである。
 自慢ではないが、せいぜいがドクダミとスギナぐらいしか知らない。
 そんな中に、どうした事かマンリョウにだけは不思議に目に入った。
 どことなく品位品格と、風格さえ備えた若きこの実生の苗木をむしり取ることを躊躇った。
 忙しなく掻き毟るわが手が言い知れぬ霊気を察知して自然に止まった。
 
 後日、植木鉢に移植して何人かに、いややはり子や孫にプレゼントするのが良策かもしれない・・・
 すべてを失い丸裸同然の身の上、最早何も分け与えるべき何物も持ち合わせないが、せめてこの万両ぐらいしかないと云う寂しさにまたまた気付かされてしまった。
 
 小鳥たちの糞が媒介したのだろう。小鳥たちに感謝しなくてはなるまい。
 何事も自然のままありのままが一番良い事に気付いたことになる。