独り言

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ラヴェンダーの香り
 
 散歩の道すがら声を掛け合う間柄にある。
 処が未だに、御芳名すら存じ上げない。
 昨年中には枝豆と紋平柿のお裾分けに与かった気立ての優しい此の御仁から、本日はラベンダーの花束を戴いた。
 あたかも私の来るのを待ち伏せしたかのように飛び出してきて、あなたにもこの花の効能を満喫して頂きたいと言わんばかりにラベンダー讃美の言葉を矢継ぎ早に繰り出されるのです。
 ゴキブリ退治はもとより、精神安定ストレス解消に心のリラックス解放感にうってつけなのだと太鼓判を押す。
 花が乾燥を来たせば、それを採集し小袋に収納すれば匂い袋に早変わりし、就寝時枕元に忍ばせれば催眠作用で安眠剤としても重宝されますよと休むいとまもなく話された。
 決して、勿体ぶったり知ったかぶりを誇示するような軽薄な人物ではない。
 おのれの了としたことを兎に角、他人にも施そうと善意の塊のようなお方なのだ。
 ラベンダーの芳醇な香り以上にもっと爽やかな気概という情感を有りがたく頂戴した。
 この芳醇な香りが今日一日中わたしの中に尾を引いた。