老いぼれの弓事始め《7》

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                                               礼記ー射義ー
 
弓事始め
 
⑤ 道場訓
島田虎之助の”それ剣は心なり。
心正しからざれば
剣また正しからず。
剣を学ばんと欲するものは
まず心より学べ。”
阿地知道場や養浩館道場では、かつて少年剣士たちが元気の良い声で唱和していた。
全剣連の定むる剣道の理念
”剣道は
剣の理法の修錬による
人間形成の道である”
剣の心を学び人間形成に近付こうと日夜稽古に打ち込む姿は神々しい。
剣の技だけではなく剣の心の何たるかを追求することは、少なくとも竹刀を手にした者は頭の片隅に置いて反芻すべき事だと思う。
 
 弓事始めに乗りかけた分際で弓を語る資格は何処にもあろうはずがない。
只稽古を前に、道場にて全員皆の衆は端座致し、礼記 ( らいき )ー射義及び吉見順正作の射法訓なるものを声量豊かに心を一にして朗読し、唱和する。
 射以上に大切なものの存在を斯くも端的にしかも的確に、更に飾らない銘文で言い切るものがあったとは知らなかった。みんなで確認しながら気を引き締め合うのである。
 心気が晴朗となり修行道場に鎮座するおのれに気付くのです。
 惜しむらくは講習期間に留まらず、道場にて弓を射んとする初心者は須らく此の道場訓を念頭に置いてせめて黙読ぐらいはすべきと思う。
 
 ただ単に、的を射るに留まらず射は正しきを己に求めている。
 己正しくあらざれば弓を射る資格がないのだと教えている。
 実に厳しき戒めではないでしょうか。
 
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