その10=台北の夜
1―オプションキャンセル
金魚の糞のようにぞろぞろ連なって行動することからもうそろそろ解放されたい。
ツアーなる団体行動の鎖の輪から解放されて自由人の気を満喫してみたい。
異国とはいえ、同じ東洋の隣国なので左程の抵抗感なく歓楽街の巷へ足を踏み入れてみることにした。
無論家内も同行するゆえ馬銜 ( はめ )を外すわけにはゆかない。
唯一懸念材料は言語の事だ。
現地語も英語もからっきしダメなので、不安材料はもう一つゲル貧のことだ。手持ちの台湾元は無いに等しい。
だが、邦貨はまかり通るらしいので気掛かりはない。