1老いぼれの弓事始め《16》

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                     庭石とコムラサキ
⑭ 8月3日金曜日、今日も巻き藁に専念する。
 藁すべ一本に狙いを定めて射るのだが ( あた )らない。
 中るはずがない。何度繰り返してみても中らない。
 それで、的中の径間10センチほどを目当てに試みるが、それでも10発10中にはゆかない。
 何発かは大きく外れる。
 山本先生にご指導を仰ぐと、大三から会への過程で弓手の手首が上方へ返っているとのご指摘を受ける。
 また、馬手の手首には力みがあり手首で引いている、肘で引くコツの伝授を受けたが十分に理解し得たとはまだ言い難い。
 あなたは未だ、藁すべに的を絞る段階ではない。
そのようなことは此の際どうでも良い事であってより大切なことは体が偏向、偏倚し重心が偏在、偏重することを自戒自重することを厳しく諌められた。
飽くまでも基本に忠実たれと箴言された。
 
本多の森には、十二分に成長した巨大藪蚊が時折出没し、十二分に吸い取られる。
大地に吸い込まれた足元と剃髪の頭部がよく狙われるのである。