老いぼれの中国紀行《6》

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              宋代の迦叶尊者像 シャカ十哲の一人
 
中国紀行

 ⑥閑散とした総会は胸が痛んだ。虚しかった。
尖閣でいがみ合う姿は賢い人間の為すことではない。
謙譲の美徳を共有し得る両国なのだから相互に一歩退いて“戦略的互恵関係”を再構築するしかない。
先ずは、日本国が大きく一歩退いてほしかった。
悪口雑言 (あっこうぞうごん) ( ののし )り合わず、良い所を ( ほ )めちぎる間柄を ( つく )るように相努めなければならない。
こんなことを期待する方がおかしいのでしょうか。
 
中国で好感をいだいたことです。
個性的な自己主張を為す面白い場面を上海博物館の中で発見した。
中国の歴代の仏像が累々と並ぶ。その夥しい数に圧倒される。
わが国においては端正な面立ちで端座する仏の姿から極めてデリカシーな表情の微妙な相違点を感性豊かな洞察力で看破しなくてはならない。
 ところが此処ではまったく異なるのである。あるものは後ろの壁に背中を寄り掛かるもの、またあるものは体をくねらせている。
首をかしげてポーズをとるのもある。肩肘をつく行儀の良い仏さん、ウインクしているのもある。
生真面目なしかめっ面なお方ももちろん・・・・・。
とにかく人間的で親近感を覚える。みな個性的で退屈しない。
あきれるほど、一目瞭然なのです。
 もちろんこれは今に始まる改革開放路線とは無関係ではなかろうか。
 これは、時代を超越するほとばしる中国民衆のエネルギーの発露と見るべきだとわたしは思った。
 言葉を換えて言えば中国民衆の生きる活力、雄大な気風に培われた大様なチャイニーズ魂の叫びであって、これを随所で見せ付けられたのでした。