老いぼれの愛犬日記《15》

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⑮ わたしの日課
 5時過ぎに新聞受けへ行き、トイレにしゃがみ目を通す。
 もはや政治の動きにも関心は薄れ無頓着になってしまった。
 精々死亡広告欄とは情けない。
 りりを連れ出し、というよりりりに催促されて朝の散歩へとお出掛けと相成る。
 往路横川町橋までは決してわたしの前を歩かない。
 ところが橋を渡り切り復路になると帰巣本能よろしくどんどん自分がリードして前へと歩いたものだ。
 2.5キロ弱を30分強の行程だった。
 わたしは直ちにブログ投稿に取り掛かかねばならない。
 一日一投稿を己に課して己に鞭打つ。
 進まぬ朝食だが敢えて摂る。大匙一杯ほどのヨーグルトにしらす干しを振り掛けた納豆を乗せ更にきな粉と青のり粉を混ぜて捏ね上げる。
 これが前菜で茶椀飯は三ツ箸分しか口にしない。
 茄の小ヌカ漬けと共に胃袋へ流し込むのが常。
 ヨーグルト入り納豆に残飯とみそ汁のしずくを、りり殿のドッグフード、煮干し等に添えて与えるのがわたしの日課の重要な仕事だった。
 それらが一瞬にして壊滅的に崩壊してしてしまった。
りりを失うということが、斯くも無惨にわたしの日課の歯車を狂わせてしまうとは思いのほか、わが身が情けない。
 喪失感といようか、もぬけの殻と化した己に茫然自失の無様さに戦慄すら覚える。
 
 今以ってセンチメンタルな感情に襲われ年甲斐もなく溜め息を漏らす一時がある。