うらなりの記《104》

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⑩枯れ木のように痩せ細った母ではあったが無性に愛おしく感じた。
それ以上にいかんともし難い深い悲しみに胸が張り裂けた。
既に全身に転移し頭蓋骨の頭頂部にまで腫瘍が拡大し、この病特有の形容し難き激痛に四六時中晒される身でありながら、母は耐えに耐え抜いて平静を貫き通したのだという。