ラジオから「旅愁」のメロデーがながれている。
絶好の秋日和だというのに、侘びしき思いがわたしをよぎる。
それが当たり前だと云い聞かせても、ままならぬわが身にいらだちがつのる。
分相応にひかえめに望みを託すが、ことごとく潰え去る。
おのれの知られざることを憂えてはならない、おのれの能なきことを憂うべきだと
何時もおのれに言い聞かせてはいるものの、どうしても駄目だ。
望み萎えて、わびしき思いに独り悩んだりもしたが、そんな女々しきこころも、この青空の彼方に吸い取られて消え失せて行った。
天の摂理に、この不敏なる身を任せるがいい。
それほど今日の秋空は、喨喨と空に鳴り渡る絶好の日和であった。