老いぼれの夕雲考《109》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(35)
 
邪道に流される正統性=然るに師たる者は
 
 
 
㉘【道学に入て修業すると云ふは、其名利の意を離れて我執を捨て天性の理に本づき、月月年々を經て君子盛徳の場へ攻入る工夫第一也、天性に本づく風情を見せて、人慾の私を我をくじくふりにし成て我つよく、口には名利を離れて内心は飽まで名利に耽る輩、】
口語訳
人として歩むべき道を説く学問、つまり道学にでも入門し修行するならば、そのような名利の心から離れ我執をも捨て去り天然自然の成り行きに身をまかせればよいことに気付きましょう。
その為には幾多の年月を重ね積まねばならない。
さらには、君子のような立派な徳を備えた領域に到達するよう進取の精神で攻め込む工夫が必要であることにも気付くだろう。
 当然のことながら、そのように努めることが一番大切なことなのです。
 
ところが生まれつきの姿のように見せかけたり、我欲を露わにしたり、または我欲を自粛するように見せかけながら、実の所は内心すこぶる我執が強いという輩は確かにいるものなのです。
はたまた、表面的に口では名利の心はないと申しながら、内心は飽くまでも名利に耽るような輩もいることでしょう。