老いぼれの北海道行き《7》

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北海道紀行           二〇〇五年秋
 
 
⑦最果ての地に秋風吹いてサハリンの島影をくっきりと捉えた。
「宗谷の岬」の曲を間宮林蔵と共に聴いているような快適な心境だ。
展望台より望めばあたかもバルチック艦隊の威容が今にも襲い迫って来るような幻想に駆られた。
この日も天気晴朗なれども浪高しであった。
だからこそ、夕日が素晴らしかった。
最北端の地で水平線に吸い込まれる太陽の光をわれこそは一億の民の中で一番最後に見届けるのだと岬の突端に身を乗り出して、意地を張った。 
北の方位に太陽が沈む錯覚に陥ったのは私一人だけであろうか。
その日も無事終わった。われらの北海道ツアーも無事終えた。
フィナーレを飾るにふさわしく見事な落日の妙で花を添えてもらった。
実に象徴的であった。
感動的であった。              終