老いぼれの独り言

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 月曜の朝は胴着に着替え意気揚々と喜び勇んで道場へ赴く。
 今日は防具と竹刀ではなく巻藁矢一本を携えての出仕で在りました。
 何時になく本日の日番教官による開門時刻は早かった。
 早速、道場のモップかけ作業に取り掛かった矢先にまたまたお声が掛かった。
 “たかはしさん裸足は困るよ。足袋はどうしたのかね。なければクツシタでも構わぬから・・・”
 指導教官は“仕来たりはしきたりです。伝統ある弓道の掟を覆すわけにはゆきません・・・”
 おっしゃる通りです。
 わたしは顔を洗い直しての出直しをおのれに課した。
 弁解や言い訳、口実がましいことは武道の教えにはない。
 ご法度であり恥ずべき行為に違いない。
 そもそも端くれであれ棒切れであれ一度武道を志しながら武具を忘れるとは以ての外だ。
 一振りの刀であれ足袋一足であれいくさにも何にもなりやしない。
 戦わずして勝負ありだ。
 初心を忘れ疎かにした証しだ。
 決して慢心の域にあるとは思わぬが謙虚さ慎重さを欠いたは明らか。
 打ちっ放しは見苦しいし品位を欠く、有効打突が有効打突の効力を逸することすらある。
 射っ放しも見苦しいし品格を疑われる。
 少なくとも武道の世界で残心
ないがしろに致すほど不遜なことはない。
 今日は一日中、「初心」と「慢心」と「残心」の言葉の前に跪きわが身に猛省を促がした。