老いぼれの愛犬日記《27》

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久方ぶりに額谷四十万越えを試みた。
やせ我慢の意地糞で四つの難所坂をクリアーし爽快感を味わう。
「なでしこの丘」の横手の路地にさしかかる。
そこに一匹の飼い犬が居てよく吠えたりしてわたしへ挨拶をしてくれた。
時には、リりーとの散歩のコースの一つであったので彼も嗅覚で覚えていたのだろう。
ところが此の冬の間はお目に掛かることがなかった。
たまたまその日は早春の日差しに誘われて日向ぼっこをしている。
しかし、よく見れば様子が尋常ではない。
立てったまましっぽを巻き後ろ足を震わしながら何かに怯えている。
随分痩せこけている。
二つの器には水こそ当てがってあるが目が虚ろで動作が極めて緩慢だ。
家からパン切れとも思ったが他人の飼い犬に対し僭越過ぎよう。
思わず首筋を撫でてやった。
目に安堵の色を滲ませてくれた。
 
如何ともし難い、心密かに安らかに居てくれることを願うだけでした。
 後ろ髪を曳かれる思いでその場を後にした。