「敗者の条件」=其の4
三つ目の戒文は
【敗者は間違ったと気付いても改めようとはしない】である。
人なるが故に誰しも失敗はする、それも重大な失敗を仕出かしたりもする。
もっと人に言えぬほど破廉恥 (はれんち)な事を為してしまうこともあろう。
孔子さんの言葉に“過ちてはすなわち改むるに憚 (はばか)ることなかれ”
“過ちて改めざる これを過ちと云う”がある。
人誰しも謙虚さが大事だ。
おのれの失敗を素直に悔い改め真綿のような柔軟で純粋なこころで猛省を促すことが必要ではないでしょうか。
打突の際は左拳を頭上に掲げて大きな技を出しなさいとアドバイスする。
ところが、言っても言っても聞く耳を持たぬどころか口を尖 (とん)がらせてふて腐れる輩はいるものだ。
勝負に勝つには刺し面しかないのだという。
それを頑なに信じて疑わない勝利至上主義者はいるものだ。
まさか、刺し面至上主義を信奉するような指導者はいないとは存ずる次第なのだが・・・
少なくとも明言できることは刺し面では場合によっては旗が揚がるかもしれないが人間形成は絶対に成し得ないということです。
体罰問題の火種はこんなところに潜むのではないでしょうか。
多くの健全なる剣士は他人の忠告を大きな声を張り上げて二つ返事を体全体で返し大きく肯 (うなず)くのです。
見ていて実に清々しいではないか。