老いぼれの独り言

イメージ 1
 
わたしの生活空間はテレビの前に食卓が置かれた六畳間である。
晩酌用の各種ボトルが段ボールに収まり、その横にはゴミ箱が無雑作に置いて在る。
さすがに此の居間には藪蚊はいないが時たま蠅ぼぼが來る。
此れだけは苦手なので新聞紙を丸めて追い払う。
手に負えなければキンチョールのお出ましだ。
エアコンが大の苦手なので網戸こそ入れてはあるが窓と云う窓は開けっ放しだ。
それ故に此の部屋には好んで昆虫たちはよくお出ましなのだ。
蟻っこの運動会は圧巻だ。
召集場所と思しきゴミ箱にはギョウサン群がっている。
どいつもこいつも慌ただしく落ち着きがない。
猛スピートで突進し制動のロスなく滑らかに体を捌き鋭角に方向転換を為す。
直線コースで走り複雑な幾何学模様を描きながら左へ右へと舵を切る。
絶妙のハンドル操作はいくら見ていても飽きない。
みな敏捷で身が軽い。
ニアミスはあるが決して接触事故はない。
況してや、正面衝突は見たことがない
見飽きることなく感心しながら蟻たちに関心を寄せている間に辺り一面が真っ黒になることもある。
その時はやはり薬物に頼らざるを得まい。
 
ただ、不思議にもわたしの食器の中に6本足を突っ込みアタクソする奴はいない。
ちゃんとルールをわきまえている。
だから、わたしは蟻たちと同居を決意し目下のところは共棲中と云ってもよいのかも知れない。