敗者の条件≪5≫

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四つ目の戒文は
 
【敗者は心の底から喜びや感激を味わったことがない】である。
 あっと言う間に、時代背景が急転した感が強い。
今や、捻じれ現象も解消し保守安定政権がアベノミクスに油を注ぎ活況の兆しを露わにしつつある。
果たして、敗者にまで心の底から喜びや感激を味わうことが適う時代が近い将来にやってくるのだろうか。
今日の新聞は非正規労働者数が最多を更新したと報じている。
 
戦後の高度経済成長の時代が終わりを告げて久しい。
かつては中央公園で赤旗が翻り、片町香林坊でのデモ行進が波打ちうねった。
当時は飢餓からの脱出を追い求め我武者羅になって働き捲くり、少なくとも日本人は一丸となって燃えた。
しかし、豊かさを手にすると同時に示威行進の火は消え去り、次いで三無主義とか四無主義の活字が矢鱈と躍りはじめた。  
ところがそれも消え失せ、今や何もない。
それに引き換え、長引くデフレ下で非正規雇用の嵐に翻弄された若者たちは、持ち家の夢破れマイカーにもソッポを向き、嫁を貰い新婚のハネムーンまで断念せざるを得ない憂き世にか細き生を生かされているではありませんか。
三無時代よりも構造的にはより深刻ではありませんか。
斯くなる状況下にても、心底より歓喜の雄叫びを発せろと云ってもなかなか至難の技だ。
敗者に陥る条件は容易いが勝者に名乗り出る条件はこのシビアな時代背景の下では確かに大変だ。
もっとも今や、回りのようすが急変した。アベノミクスの一文字が日本國中を席捲しつつある。
 
しかし、社会の背景がどちらに転ぶにしろ、勝者敗者共々一たび面をかぶり面紐をぴしっぴしっと締め付けて敵と対峙したならば、覇気燃え上がり闘争心の激高が必ずやあるはずではないか。
剣道が宿す不可思議な魔力が無限大のマンパワーを授けてくれはしないでしょうか。
そして渾身の打突を繰り出せば一機に感謝感激感動の大津波が三連動で打ち寄せて来はしませんでしょうか。
それを信じてやるしかない。