沖縄の旅«3»

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沖縄旅日記  二〇〇七年十二月十二日~十四日
 
 
3・ 本来なら祖国の地であるべきところに厳然と他国の領地が覆いかぶさっている。
米軍基地の中で目立たぬように、隠れるように沖縄の住民たちは息づいている。
初めて沖縄を目の当たりにしたわたしにとっては鮮烈なる民族的違和感を新たにした。
但し、不思議と日本人同志の一体感を共有したのだが、やはり不条理としか言いようがない義憤の念に駆られた。
  嘉手納町 の町有面積のうち八十三パーセント迄をも米軍のために供しているのだという。
主客転倒も甚だしいではないか。
 
植物園の入場門でのガイドさんの解説は低空飛行するF―15思しき戦闘機の耳を劈く爆音に掻き消され皆目聞き取れない。
やはり、怒りに近い感情またしても禁じ得ず。
私は急降下する操縦席の主をはっきりと捉えた。
白人兵の眼光を激しく見返してやった。睨みつけてやった。
そこには熱帯産の艶やかにして初々しい巨大なる花々がわれらを歓待してくれたのだが、わたしの生々しく荒んだ心中は決して癒されることはなかった。