ニュージーランド行き《3》

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ニュージランド紀行 二〇〇六年三月二十六日~四月二日
 
③また、この国には大型肉食獣がいない。熊や狼もいないらしい。
爬虫類の鰐はもとより蛇の類も一切生息してないという。
そのことがフォッサというジャコウネコの仲間の小動物が天敵がいないことから大繁殖し政府も駆除対策を講ぜざるを得ない状況にまで追い詰められているらしいことをガイドさんは強調していた。
走行中のドライバーが横断中のフォッサを轢き刎ねたとしても罪悪感なく、その場に降り立ち歓呼の拳を振り上げ小躍りしながら喜びを露わにする光景を幾度となく目撃したとの証言を添乗員から伺った。
羊の国の羊の頭数よりもフォッサの頭数の方がもはや多くなり億の単位に達しているとの話だった。
『メリノシルクフォッサ』のセーターを大奮発してみやげ物にしてしまった。
抜群の保温性と耐久性を謳い文句にして喧伝するあまりつい衝動買いしてしまった。
フォッサの毛は極めて剛毛だが中が空洞ということで保温と耐久に秀でているが肌触りがいただけない。
そこで柔軟なメリノ種の羊毛との混紡に繋ぎ糸にシルクを用いるという豪華にして贅沢なニュージランド自慢の毛織物が出来上がったのだという。
それにしても豊富すぎるほどに供給されるはずの原材料を戴くお国にしたらいま少し廉価にならないものだろうと思ったりもした。
老い先短きわれらにしたら耐用年数十ヵ年は些か覚束ない気がしないでもないが精一杯愛用していきたいものだ。
色も柄もペアと相成った。
森の木陰に群れを成すフォッサの息遣いを一瞥したかったが残念ながらその機会は訪れなかった。
なお、オーストラリア大陸でのフォッサは天敵のため絶滅寸前までに至っているそうだ。