老いぼれの独り言

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五日日曜日定例の稽古に赴く。
稽古始めになる。
何時もの猛者連ばかりだ。
一人歳の離れた見劣り致す存在あり。
熟頭より簡略な年頭あいさつを受け恒例の打ち返し・正面打ちに入る。
何時になく床が滑る。
異様に滑る。
蹴り足がままならない。
右足攻め込み正面打ちが様にならない。
先輩諸士の体の捌きは何ら変わりなく映る。
異様に滑るのはわたしだけだ。
多分、老人特有の乾燥肌が足の裏に来やったなと思った。
むかし伺ったことだが竹刀に塗った蝋の仕業かも知れない。
とにかく此の乾皮症は冬期間だけらしい。
我慢し対応するしかない。
恐らく昔の武人たちは戦場での諸条件を問うたわけでは絶対ないのだ。
足場の悪い泥濘 ( ぬかるみ )だったかもしれない。
手がかじかんで柄を握る感覚がなかったかもしれない。
腹が痛かったり高熱を冒してでも敵と対峙いたさねばならない、逃げるわけには行かなかった古の武人を思わなくてはならない。
床が滑ると云って甘えてはいけない。
悪条件の中で如何にしておのれの剣道を成就させるべきなのか。
試練の時だと思いなさい。
正しい姿勢、正しい構え、正しい足捌き、そして、脱力しろ肩の力を抜け臍下丹田にこそ力を充実させろとおのれに言い聞かせた。
新調間もない道場なので濡れ雑巾は置いてない。
稽古が終わってから大きなスプレー缶が道場の隅っこにあることに気が付いた。