老いのひとこと

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「野焼き」二日目の今日は窯出しの神事に参列した。
縄文時代の古式にのっとり窯出し隊の面々は日本海の海中にて身を清め隊長の号令一下勇壮な立ち居振る舞いのもと豪快に而も大胆な掛け声と共に作業は進められた。
海浜の熱風とともに灰塵が巻き上がる中漆黒の土器が続々と掃き出されるのです。
百名を優に超える陶芸同好の士たちは窯場を遠巻きにして取り囲み固唾をのむ思いで作業を見届けます。
太古の縄文のむかしには集落を挙げてもっと盛大に厳かにしかも華やかに執り行われたのでありましょうか。
「火きり法」で採火された松明の篝火は丸一昼夜燃えつづけ此の作業を見守っていた。
わたしは、此の祭事に見惚れていたのでおのれの作品は眼中に入らなかった。
作業終了後、凡そ二百体以上の焼成ずみの物体をほんの暫し一瞥しただけでわたしはわたしの作品を見出すのに然程の時間は要しなかった。
なんとも不思議なもので我が子や孫を探しあてるも同然であったのだろう。
しかしその瞬間、気勢が萎え悄然としてしまった。
数メートルは隔ててはいたが我が分身は完璧にひび割れどころか縦に大きく胴割れを来たしているではありませんか。
運がなかった以上にわたしは自分の作陶技量が極端に劣っていたことを知らされたのでした。
それでも、手厚く段ボール箱に安置し遺児をば脇に抱いて力なく家路に付いたのでした。