老いのひとこと

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寒気団が遠のき久し振りの陽射しに気も和む。
久し振りに巻藁もよかろうと気が向いたので兼六園道場へとおもむく。
雪の中に佇む本多の森の風情は格別です。
しっとりとこころ落ち着けて弓を射るには恰好の場所といえる。
もっとも、弓を射るとは云えど相も変わらずもっぱら巻藁の前に過ぎない。
とは言え、的前であれ巻藁も前にしろ矢を射る段には代わりはない。
荘厳なる「会者定離」の境地を心ゆくまで堪能し尽した。
会うものは必ずや離れ去り昇華し消え去ってしまう。
好いじゃないですか、当たる中らぬは度外視して此の深遠にして高邁なる世界に浸り得る絶好の空間が此処に在るのです。
もう少し馬手を後方へとお声が掛かる。
これまた久し振りに有り難きご忠告をいただく。
大いに納得いたし直ぐに修正をこころみる。
 
帰宅しいつもの我が道場に身を呈しPCの前に立てばいつもの日課が我が身に迫って來る。
見るまでもなく「与党三分の二を超す勢い 毎日調査」
「東京株一万八千円台7年振り」羽振りのいい見出し文句が飛び込む。
よいじゃありませんか結構じゃありませんか、日本国中がルンルン気分で有頂天になってもよろしいではありませんか。
いま程は「会者定離」という充実の気を頂戴したがあからさまな現実を知って急激に萎えて行ってしまった。
おのれが情けない、まったく修行が足りない。
取るに足らない戯けモノに過ぎぬではないか。
何もかも達観いたし下らぬ邪念を抱くことなくあからさまなる無の境地に早く到達いたしたいものだ。
 
馬鹿は死ななきゃ治らない、死んだ方がましかも知れない。
あーあ、またしても溜め息。