老いのひとこと

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まあまあこんなこともありましょうことよ。
 どんまいどんまい、ご愛嬌さんで参りましょうよ。
 今日は目下制作中の二つの湯飲み茶わんに「削り高台」で挑もうと目論んだがどうしても巧く出来ず前回同様「付け高台」で行くしかなかった。
 それでも、今回はどなたからも助言をいただくことなく独力で作業は進められた。
 ところが意外と手間取り30分で済ませるお仕事に一時間以上費やしてしまった。
 慌てて講師の先生より入室許可をいただいて釉薬部屋に飛び込んだのです。
 それにしても此のわたくしは先天的な色覚異常の持ち主でむかしから紅緑の区別が儘ならず此の部屋の釉薬如き中間色には物凄い抵抗感を覚えるのです。
 濃淡と明暗の区別しか目には入らない。
 もうこうなれば半分はヤケクソ気味に彫込んだ文字の部分に「織部」を流し込んで上っ面を拭き取ってから「白萩」のなかへイチニイサンと浸したのでした。
 自分なりに丹精を込めた深鉢一点と中川一政画伯の作を模した「われはでくなり」と彫った陶板様の小皿一点に土鈴の以上三点にお薬を施したのでした。
 隣の教室では既に終礼を済ませみなさん方お帰りだがわたしは居残り同然に齷齪と手を動かしたのです。
 何と愚かにも「土鈴」の空気抜きの隙間を封鎖せずに薬の中に漬けてしまい「先生のお話しはちゃんと聞かなくちゃダメよ」とお灸を据えられました。
 また、今後は作業の段取りを配慮して早めに取りかからねばなりませんよと優しく諭されたのでした。
 「はい、これからは注意します」と大きな声でお返事いたしました。