老いのひとりごと

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目下の処、湯飲み茶碗と茶筒抹茶入れと一輪挿しの制作に鋭意取り掛かる。
 何れも基本に立ち返り紐から輪積みを積み重ねる経験済みの手法には違いない。
 お茶碗は夫婦茶碗として大小の弐個とし外面にはあまり造作を加えずに敢えて指跡の凹凸を残したままにした。
 但し、内づらにはペーパーを掛けて滑らか仕上げたつもりだ。
 落ち着いた素朴な風情をかもし出されれば好かろうかと思っている。
 
 一方、お茶を保管する茶筒なら蓋がしっかり閉まって密封されなければ意味をなさない。
 俄か仕込の幼稚な技法ではなかなか大変難儀な技なのです。
 それでも慎重にペーパーを掛けながら一心不乱に研磨いたす内に曲がりなりにも本体に蓋の部分が納まるようになったではないか。
 蓋をした状態のまま恐るおそる徐々に徐々に少しづつ回転させていたらだんだんと様を成すようになってくれた。
 つまり、本体と蓋の部分を擦り合わせながら磨きを掛けたようなものだ。
 この接触部分には釉薬は描けずに置こうと思ってはいる。
 
 さあ、問題は仕掛中の一輪挿しだが名前の通り簡素で清楚な趣きがまったく何処にもないではないか。
 第一口細の様を為してはいないし野暮ったい単なる花瓶に過ぎなかろう。
 削ったり剥ったり凹ませたり膨らませたりまさに時間との勝負なのです。
 粘土が乾き始め次第に硬度が増して自由なる操作が困難になりつつあったのです。
 それにしても、離れたり近付いたり回転させながら四方八歩より目を注いで最も均整の整った正面の部位をさがし出す。
 取るに足らぬ物体であったにしろ其の物の最も美しく正しい一面を見付けてやることは善い事だと思う。
 稚拙ながらもわたくし流の芸術眼を養う絶好の機会だと心得るのです。